仮想空間をリアルに体験出来ると、エンタメ界を席巻するVR。その技術は5Gなどの高速通信技術の向上とともに、さらなる飛躍が期待されています。
このVR技術は、ゲームや映像のエンターテインメントの分野で広く浸透していますが、実はビジネスシーンにおいても利用され、大きな期待を集めています。
今回は、そんなVR技術がどのようにビジネスの世界でも活用されているのかに着目し、その無限の可能性について考えてみたいと思います。
VR市場のいま
現在、VRの市場は60%以上が消費者、つまり個人でのエンターテインメント利用がメインとなっています。逆にビジネスとしてのVR市場は30%未満といわれており、まだまだ大きくはありません。
しかしながら、VRの利用価値の高さは、エンターテインメント業界だけでなく、ビジネス界においても十分に認知されており、3年以内にはビジネス消費が60%を超えるとも試算されています。
それでは、ビジネスシーンにおけるVRの活用について、現在の活用事例を紹介します。
ショッピングシーン
ショッピングシーンでは、バーチャル世界でユーザーの商品イメージを実感します。
通常のECサイトではつかめなかった商品のイメージを、3Ⅾ映像から立体的に捉えることで、2Ⅾの商品イメージから、より実際のイメージに近い感覚を得ることができます。
不動産現場
不動産の分野では、すでにVRなどの3Ⅾ映像は広く活用されています。とくに注目を集めているのがVRを使った物件内覧会。現地に出向くことなく、いろいろな物件を内覧でき、しかもその場にいるかのような物件の居住イメージを体験できます。
医療現場
医療現場においては、外科手術をVRでシミュレーションしたり、ナビゲートすることができます。また、新しいアプリも開発され、体内の患部や血管などに自分が入り込み、実際には見ることのできない患部の状況や手術の方法などの研究、開発にも役立てられています。
観光現場
観光分野では、VRによる観光疑似体験を通じて国内外の観光客の誘致に役立てています。実際には見ることのできないシーンをVR技術によって再現できることで、史跡案内では、その当時の暮らしや場面にタイムスリップすることが可能になり、新しい学びや経験ができるといった期待が膨らんでいます。
建設現場
建設業界では、VRを使って重機材を遠隔操作することができるようになり、作業の効率化を大幅に促進できるようになっています。
大型災害の現場などの緊急時でも、VRを活用することによって、遠隔地にいながら現場の重機を動かせるようになり、危険な現場から離れた場所で安全を確保しながら作業ができ、よりスピーディーに人命救助や災害復興に役立てることができます。
研修現場
VRは、いろいろな職種の研修現場でも活用されています。
VRを使うことで、オフィスにいながらにして、店舗や施設での行動をシミュレーションできます。これは、サービス業界だけにとどまらず、医療や介護の現場でも活用されています。VRを使って患者や介護者目線になることで、今の現場サービスの問題点を見つけたり、介護技術の改善にも役立てられています。このように、顧客や利用者の不便を解消や、従業員やスタッフの業務の効率化など、多種多様な課題をVRで解決できるのです。
VRの技術は、このように「時間」「距離」「状況」といった、リアルな現場では解消することができない問題を解決することができるツールです。VRは、エンターテインメントだけでなく、ビジネスの在り方そのものを変化させる可能性がまだまだあるのです。
VRを使うことで、これまで不可能だった体験が可能になれば、そこから新しいビジネスを生み出すことも可能です。今後、VRの技術はエンターテインメント、ビジネスの両シーンでますますその存在価値を高めることでしょう。