エンタメ界の限界はあるのか?未来のエンタメ界を2つの異なった視点から読み解いてみよう

 

「不要不急」という聞きなれない言葉が流行語になりそうな今年、いままでにないエンタメ界の危機的な状況に陥っています。それはエンタメそのものが“不要不急”なモノやコトではないからです。

 

エンタメとは人生における余暇を楽しむためのもので、特に勤勉といわれる日本においてはもっとも軽視されてきたジャンルかもしれません。

 

しかし、近年の働き方改革や高齢化社会による人生観の変化によって、エンタメ界が人生や生活にとって非常に大切なものであるという認識が高まってきました。そんな中でのコロナ禍により、再びその根本であるエンタメ業界が瀕死の状態となっているのです。

 

テレビやオンラインなどでこの場をなんとかしのげるエンタメ業界もあれば、リアルな現場でしか対応できないエンタメもあります。ここではそんなエンタメ界を2つの大枠で捉え、未来のエンタメ業界がどのように発展し、展開すべきかを検証します。

 

 

第1章 エンタメ業界の限界

エンタメという言葉が持てはやされるようになったのはごく最近のこと。それまでは娯楽という言葉で、あまり「良い意味」としては使われていなかったのではないでしょうか?

 

これまでの日本人の価値観は勤勉でよく働くことを是とし、休日は仕事のために身体を休めるために使うのが当たり前。余暇を楽しむために働く欧米の思考とは真逆な考え方でした。

 

しかし、高度成長期がバブル経済の崩壊と共に終わりを迎え、人生の生き方そのものが見直されるようになったのです。それまでのパチンコや遊園地といった一辺倒であったエンターテインメントは、GAFAに代表されるオンライン化したエンターテインメントへ急速に移り変わり、フィクションな世界からリアル社会へ変遷したのです。

 

そんな時代のなかでエンタメ業界が苦境に追い込まれています。それは、コロナ禍においては所詮エンタメは「不要不急」なものであるからです。

 

 

第2章 エンタメ界のオンラインとオフライン

最近のエンタメ界の広がりは、ITインフラの副産物ともいえるかもしれません。日常で誰もがGAFAのようなITプラットフォームを利用し、それ以外にも様々なプラットフォーマーの恩恵も受けています。いまではエンタメにおいてもSNSや動画配信といったITインフラを利用することが欠かせなくなっています。

 

エンタメには大きな2つのジャンルが存在します。それは「オンライン化ができるエンタメ」と「オンライン化ができないエンタメ」の2つ。

 

オンライン化できるエンタメはコロナ禍に対応でき得るコンテンツで、映画やライブ(音楽やお笑い、演芸など)です。一方で、オンライン化できないコンテンツは遊園地やスポーツなどの客さんが積極的に動くアクティブな活動が不可欠なものを指します。

 

では、オンライン化できる方が生き残ることができて、できない方が淘汰されるのかというと事はそう簡単ではありません。それは、オンライン化できるからといってその「業界」が安泰とは限らないからです。

 

例えばお笑い芸人が今までの舞台での活動を自粛し、オンラインで新ネタを公開して一時的に収入を得られても、これまであった演劇場や舞台がコロナ禍に耐え切れずに潰れてしまうとなると根本の芸能活動に支障をきたすでしょう。もっと言えば、所属する事務所もこの経済難に耐え切れないかもしれません。オンラインだけでの活動には限界があり、そのジャンルが今まで以上にレッドオーシャン化してしまい、結果としてその業界は衰退します。

 

逆にオンライン化ができないジャンルは、そもそも希少価値が高く他のものに替え難いコンテンツのために、コロナ禍を持ちこたえることでその後のリバウンド集客が見込めます。

 

 

第3章 未来あるエンタメ界は日常のなかに溶け込むこと

これからのエンタメ界に必要なことは、エンタメの消費者である顧客やオーディエンスの日常にどのように入り込むかがポイントになります。

 

良い例として、一昔前までは男性の大人がメインターゲットだったプロ野球の観客に、今では若い女性がたくさん押しかけるようになったこと。野球人口が減っているなかで、そのファン層を拡大できたことは奇跡とも言えます。しかし、今までは見えていなかった顧客層の開拓は意外に難しいものではありません。女性が訪れやすい綺麗なトイレや売店のメニュー、お洒落で可愛いグッズの開発でファンが増えると、おのずとファミリーのファンも増えるという好循環が生まれたのです。

 

このように、これからのエンタメ界の未来は、消費者のターゲット層をひろめるアイデアとそれを現実化する実行力が大きなポイントになることでしょう。

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