2020年の秋、いよいよ本格的な5Gがスタートします。スマホデバイスの進化や消費者のニーズの変化に伴って、エンターテインメント業界は大きな変革を求められています。
ここでは、スポーツや音楽の視聴とゲーム産業のここ数年のデータの変遷と、次世代移動通信である5Gによる影響について解説していきます。
これからのエンタメ産業がどのように変化していくのかも考察しますので、ぜひ最後までお付き合い下さい。
5Gがもたらすエンタメ改革とは?
超高速のデータ通信が可能になる5Gですが、それによってエンターテインメント産業にもたらされる影響は革命をもたらすほどに大きいと言われています。
21世紀に入って暫く、消費者の欲求はモノ消費といわれる物質的なものから、体験価値型のコト消費に変わっています。このような消費者ニーズの変化が、エンターテインメント業界にも大きな影響をもたらしています。
それが、実際にどのような事かを考えていきましょう。
スポーツ観戦と音楽ライブの隆盛
つい十数年前まで、プロ野球をテレビで観戦することが一般家庭の大きな楽しみでした。それは、毎晩のように複数のチャンネルでプロ野球中継が放送されていたことが物語っています。
しかし、ここ数年は毎年のようにテレビの地上波でのプロ野球中継は減少しています。2001年に238番組も放送されていたプロ野球中継ですが、2015年には92番組まで激減しています。
その一方で、全国の野球場に足を運び、ライブでプロ野球観戦を楽しむファンの数は、2013年頃から増加しています。2017年にはセ・リーグの観客動員数が過去最多を更新。特にパ・リーグの新しく女性ファンを取り込むためのイベント、演出などを積極的に行う手法は話題となりました。
これは音楽業界でも似た状況がみられ、テレビでの音楽番組は減り、音楽のCDやDVDの売上げは減少傾向にあります。具体的に見ても、CDとDVDの売上げはここ10年ほどで年間約2000億円近くの落ち込みが見られます。
しかしそれとは逆に、音楽のコンサートやライブでの収入はここ10年で約2000億円増加し、モノからコトへ移り変わる消費志向がしっかりと見て取れます。
このように、スポーツも音楽も体験型のコンテンツが人気を得ているのです。
ゲーム業界への大きな影響
音楽業界と似たタイプの変革が起きているのがゲーム業界です。それは「ソフト」のあり方で、1980年代のファミコンブームから続いた家庭用ゲームの人気が2007年をピークとして減少し続け、それにかわりオンラインゲームの台頭が著しい伸びを見せています。
2016年にはオンラインゲームの市場は約1兆3000億円に迫り、その中でもスマートフォンのゲームが約9割を占めています。そして、家庭用ゲームのような、自分対ゲーム機、自分対家族や友人という関係性が、オンライン上の複数の人々に変わりました。
今後もさらに、情報の通信量と受信デバイスの進化によってゲームの進化、楽しみ方は変わると期待されています。
さらなる「体験型」の価値提供を可能にする5G
これまでのような消費者のニーズ変化に伴い、エンタメ業界はさらなる体験型の価値を見出し、提供を可能にすることにチャレンジしています。
それに欠かせないのが、次世代の高速移動通信である5Gなのです。
5Gの特徴は、高速大容量で多数の端末への接続を可能にすること。これにより、全く新しいライブイベントを可能にします。
それぞれが離れた場所で演奏するアーティストの演奏を、5Gネットワークを使いリアルタイムに合わせることで1つの演奏に合わせて視聴することを可能にしたり、3Dで立体的な空間を作り出すこともできます。これは、世界中のどこにいても、臨場感あふれるライブパフォーマンスを楽しむことができることを意味します。
また、ゲームの世界に自分が飛び込んでプレーしたり、プレイヤー目線でスポーツ観戦を楽しむことも可能になります。
5Gがもたらすことができるのは、そのような臨場感を世界中のだれもが、どこでもいつでも体験できるという消費メカニズムの構築なのです。