最近人気の漫画の中には、Twitterで人気に火が付いたものや、Twitterから生まれたものが少なくありません。
投稿型のSNSであるTwitterで話題となった漫画が、単行本化されたり、キャラクターマーケティングとして利用されることも珍しくなくなりました。
今回は、そんなTwitterが漫画業界にもたらす影響と、変化について考察してみたいと思います。ぜひ最後までお付き合い下さい。
漫画発表の場としてのTwitter機能
インターネットが、漫画の発表の場として定着を見せてから久しく時が経ちました。ウェブマガジンや投稿サイト、同人サイトなどを使って、これまでもいろいろな作品が発表され、作品化されました。
しかし、近年のTwitterを発表の場としている漫画の拡散スピードについては、これまでのインターネットメディアによって発表された漫画と比べても明らかに異質で、それらよりも遥かに早く、広範囲に広まっています。
記憶に新しい「100日後に○○」というタイトルの漫画も、Twitterで瞬く間に拡散され、その後に続々と「100日後に△△」といった目を引くネーミングをあえて利用し、Twitterで発表されています。
もともとTwitterで発表される漫画は、友人同士のやり取りなど他愛もない所から端を発したもので、その後に友人の友人へと「リツイート」されることで広まっていきました。
しかしTwitterユーザーの数は膨大で、国境もない分、その広がり方は先のウェブマガジンや投稿サイトとは全く違うスピード感で拡散します。それにより、1本の投稿が数時間で万単位の広がりを見せ、数日間のうちに書籍化が決定するものまで現れたのです。
このTwitterでの拡散には、ただ単に拡散されるだけではなく、その漫画に対する感想コメントやメッセージも添えられるので、その内容と一緒にユーザーの気持ちも付加されます。そこに、各ユーザーの共感や周囲の人の反応を見いだせるため、出版社も迷いなく書籍化を決めることが出来るのです。
Twitter漫画の出版業界的メリット
このように「なにげなく」投稿された漫画が、Twitterというプラットフォームで拡散されて「バズる」ことで単行本化され、後にシリーズ化したり、キャラクターとして売り出されることは、漫画を生産する側とプロデュースする側との関係にも変化をもたらします。
これまで漫画家を志望する人は、有名な漫画家のアシスタントとして師事し、そこで学びながら出版社の新人賞に入稿したり、持ち込んだりしてデビューの道を模索してきました。
しかしTwitterでは、短編ではありますが簡単に失敗を恐れることなく「エントリー」出来るのです。またプロデュース側の出版社も、近年出版部数の伸びに悩まされている漫画雑誌にあるようなリスクを背負わずにバズったTwitter漫画を書籍化する方が、経費のリスクを回避できるというメリットがあります。
漫画による社会的影響
しかし、先にも述べたようにTwitterをプラットフォームとする漫画は、そのページ的な情報制約のために4コマ漫画などが多く、漫画の内容で表現できることには脆弱性が付きまといます。
いま話題になり映画化される漫画は、その多くが週刊や月間で発表される漫画雑誌に連載されたものが多く、まだまだ漫画雑誌の長編物語に対する期待は大きく、その社会的な影響も大きい。
これからもTwitterから発信される漫画は続くものと思われますが、それはあくまで新しい漫画のジャンルであり、これまでのような長編でメッセージ性の高い漫画が、その地位を譲ることは考えにくいでしょう。