今年の世界最大のニュースであり、いまだに出口の見えない状態にあるコロナウィルスの蔓延。日本においてもその影響は大きく、緊急事態宣言発令後はしばらく外出を自粛する動きが続きました。
そんなコロナ禍が終息するには、まだ相当な時間が必要になると考えられています。
このような世界問題の中、東京オリンピックをはじめ、多くのスポーツイベントの中止や延期が発表されました。スポーツというエンターテインメントがこれだけ制限されたことは、現代社会では初めてのことでした。
そこで注目を集めたのが、オンラインで直接対面せずに対戦できるeスポーツです。コロナ禍においてeスポーツのチャリティーイベントが大々的に開催され、各界の有名人が多数参加したことで大きな話題を提供してくれました。
今回は、いま全世界で注目を集めるeスポーツが地域社会に与え得る影響について考察していきます。ぜひ最後までお付き合い下さい。
eスポーツと専用施設の増大
コロナウィルスの蔓延による外出自粛や、ソーシャルディスタンス確保のためのイベント中止は、リアルなスポーツだけでなくeスポーツにも影響を与えました。日本で人気のeスポーツは対戦型のゲームで、そのイベントは基本的にオフラインで行われているからです。
しかしeスポーツ界にとって、いま新たな動きが始まっています。それはeスポーツ施設が日本中に続々とオープンしていることです。
宿泊施設とeスポーツ施設が一体となったホテルの開業や、eスポーツ大会の会場にもなる大型アリーナの建設も目立ちます。そのような施設の中には、子どもも参加できるプログラミング教室があったり、定年退職後の高齢者が社会参加できるeスポーツのコミュニティの構築を目指したりと、地域に密着した施設という特徴があります。
大会やイベントを実施するための機能を備えることはもちろん、地域社会にも貢献でき、さらに幅広い年齢層にeスポーツを体験してもらう機会が増えることが期待されます。
eスポーツの地域社会との関係
このように、eスポーツ関係の施設が増大するとともに注目されているのが「地方型」の施設環境です。
これまでに開催されてきたeスポーツイベントの多くは、オフラインでの開催であったことから首都圏を中心とした「都会型」施設で行われていました。
しかし、いま新たに建設されている施設の多くは都会とは別の郊外に作られています。大阪や兵庫、富山、宮城など、eスポーツが地方において活発化していることで、地域に根ざした競技団体が生まれようとしているのです。
これらの施設では、いわゆる高スペックなデバイスを用いた体験が可能で、地域のコミュニティ大会も実施できるだけでなく、各府県のeスポーツチームの拠点になるという期待が持たれます。
かつてはプロ野球チームも、関東や関西の中心である東京や大阪に集中していました。しかし、地方のファンの獲得のために今や北海道から東北、九州にまでその拠点が分散しています。サッカーのJリーグに至っては、下部のチームまで含めて全国に拠点があります。
eスポーツは、それらの良いところを最初から取り入れ、しかも年齢や性別も関係なく楽しめるエンターテインメントコンテンツに成長していくポテンシャルを持ち合わせています。
しかも、その参加資格をプロとアマチュアの境なくオープントーナメント形式にすれば、誰もが気軽に参加できます。また、コロナ禍においてもオンラインで対戦出来て、しかも視聴もできるプラットフォームも比較的容易に構築できます。
2019年には国体でもeスポーツがプログラムに採用され、全国的なeスポーツの大会も開かれるようになりました。
コロナ禍でいろいろなスポーツや文化的なイベントが縮小傾向にあるなか、eスポーツは確実に地域社会に浸透し、地域の活性とともにさらに拡大していくことでしょう。