LGBTはどこまで許される?テレビ業界のLGBTタレントのいじり方のモラルとは

 

最近、自分がLGBTであることをカミングアウトして、テレビなどでも積極的にLGBTについて話したり、それをネタにしているタレントも見られます。

日本では、まだまだLGBTへの偏見や差別意識が強く、笑いのネタにしたり色物扱いをするタレントや番組制作の意図を感じることもあります。

今回は、これまでタブー視されてきたLGBTと芸能界の関わり方について考察してみたいと思います。

 

LGBTとは性的少数者の総称

 

近年よく耳にするようになり、社会的にも浸透してきている「LGBT」という言葉は、本来4つの言葉で構成されており、それぞれの頭文字をとった頭字語です。

「L」はレズビアンで女性で同性を好きになる方。女性同性愛者を意味します。

「G」はゲイ男性で同性を好きになる方。男性同性愛者を意味します。

「B」はバイセクシュアルで女性を好きになることもあれば、男性を好きになることもある方。両性愛者を意味します。

「T」トランスジェンダーは自認する性別と出生時の性別が一致していない人のことです。

この「LGBT」とは、性的少数者(セクシュアルマイノリティ)の総称の一つとして使われています。

 

LGBTと社会

日本では昔からLGBTである人を差別したり、色物として扱う風潮がありました。それは「オカマ」とか「オナベ」などと呼び、その当事者を蔑むような扱いをしていた時期が長く続いていました。しかし、世界的にLGBTという言葉が広がり、性だけでない「マイノリティ」が社会に認められるようになってきたことで、マイノリティを差別したり侮辱するような言動や行為が非難されるようになってきたのです。

このような風潮は、もともと世界中にあり、宗教的にも文化的にも長い間受け入れがたい問題として処理されてきた歴史があります。実際に今でも、自由を標榜する代表的な国であるアメリカにおいて、「同性婚」が合法になった今でも、その論争が続いています。

では次に、日本におけるLGBTの認識はどのように変化しているのでしょうか。

 

日本の社会とLGBT

 

日本においても、近年では積極的にLGBTについて語られることが多くなりました。実際にはまだテレビでは多くありませんが、インターネット番組などでは、LGBTの方やそうでない方が討論を行い、社会に浸透させようとする動きが見られます。

 

日本のLGBTに関する法的な動き

2017年に、日本政府はいじめ防止基本方針の改訂を行い、その中でLGBT生徒の保護の項目が初めて盛り込まれました。こ前年の2016年には、教職員向けに、LGBT生徒への対応を記した手引きも発行。このように、一般社会よりも先に、教育現場での取り組みもしっかりと始まっているのです。 しかし実際には、いまだにLGBTに対する差別やいじめが残っています。 また、日本では異性カップルと同等の権利が法的に保障されていません。

 2015年には、東京都渋谷区の議会で同性カップルを結婚に準じる関係と認める「パートナーシップ証明」の発行が可決され、いくつかの市区町村で実施されるようになってはいますが、いずれも条例や要綱での実施で、いまだ法的な拘束力はありません。

 

カミングアウトへの不安

このように、法的な安全がない状態では、日本でのLGBTのカミングアウトには不安がある方が多いのが現状です。

日本労働組合総連合会が実施した「LGBTに関する職場の意識調査」によれば、職場にLGBTの人がいることに抵抗を感じる人が3人に1人というデータがでています。

参考:「LGBTに関する職場の意識調査」(日本労働組合総連合会・2016)

 

このように日本社会ではLGBT当事者がまだまだ差別を受けるケースもあり、その場で差別的な言葉を言われたりすることが起きています。

 

日本のテレビでのLGBTの扱い

 

日本のテレビでも、以前とは違いLGBTについてはデリケートな扱いをするようになっています。LGBTが世界中で「人権問題」として扱われるようになり、BPO(放送倫理・番組向上機構)も「性的マイノリティの人権への配慮が課題となっている時代に、著しく配慮を欠くやり取りを放送した点で看過できない」という文言を発表し、とある番組の内容を指導しています。

 

お笑いとLGBT

しかし、お笑いタレントがLGBTを「いじる」という行為、もしくは「ネタ」については、それが差別なのかという議論が付きまといます。そもそもお笑い芸人も、自分を笑いの種としてある意味で「差別」されているからです。

お笑い芸人やタレントが、マイノリティを売りにせずにマジョリティ(多数派)で売ろうとするならば、お笑いという業界は先細るのが目に見えています。「バカ」「デブ」「ハゲ」「ブス」など、お笑いのネタは自虐と差別が満載です。そんな中で、自らのLGBTというマイノリティを売りにしているタレントも数多くいます。そんなタレントに対してのLGBTを差別する発言は、当事者双方が合意の元にあるために問題視されるものではないでしょう。

また過剰にそのことで周囲が騒いだり、非難することも非常にナンセンスです。

 

ただ、社会の中ではマイノリティが尊重されることは必要です。実際に芸能界やタレントの中でも、LGBTをアウティング(本人の了解を得ずに、LGBTなどを第三者に暴露する行為)されたことで引退したり、自死したという痛ましい例もあります。

 

これからもLGBTだけでなく、マイノリティとマジョリティの問題は続きます。そして、そこにゴールや答えはありません。社会が如何にマイノリティに対して寛容になれるかが、この問題を解決していく1つの答えではないでしょうか。

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