新型コロナウイルスの感染拡大のため、世間では外出自粛と休業要請が呼びかけられ、パチンコ店にも大きな影響がでました。
コロナウィルスの蔓延が始まったころ、パチンコ店は感染源のひとつと世間からバッシングを受けました。そこで多くの店が休業要請に応え休む中、休業要請に応じない店には都府県を超えてまで客が移動していたことが大きなニュースにもなりました。そんな休業要請に応じない店があることで、パチンコ業界はさらなる逆風にさらされることになったのです。
今回は、2023年までに現在の全国9000店の2割を超えるの2000店以上が廃業に追い込まれるといわれているパチンコ店の現状について考察していきたいと思います。
第1章 パチンコ店の苦境と背景
パチンコ店の苦境は、じつは新型コロナウイルス蔓延による休業要請以前から始まっていました。その背景には、大きな複数の要因があります。
まず第一に、パチンコ店の客離れがあげられます。戦後のピークは1995年頃と言われており、その後多くのパチンコ店では来店客数の減少が始まりました。理由はいろいろありますが、Windows95やコンピューターゲーム機、携帯電話の普及など若者の娯楽が一気に変容したこと、またギャンブル依存症が社会問題となり、パチンコやスロットのギャンブルの射幸性に対する規制の強化も大きな背景にあります。
パチンコやスロットの出玉をこれまでの3分の2までに規制したことで、いわゆる「大当たり」がなくなりパチンコの魅力は低下、パチンコ店にとっては大きな痛手となりました。
次に、2020年の4月から始まった受動喫煙防止対策による禁煙措置があげられます。飲食店と同様に、喫煙しながら楽しむことが当たり前だったパチンコ店が禁煙になったことで、愛煙家の多くが他のギャンブルの競馬や競艇などの公営ギャンブルに流れているという報告もあります。
第3の理由は客層の変化です。パチンコ店の客層はおおむね高齢化が進んでいます。昔から毎日のようにパチンコ店に通う高齢者はいましたが、若者がパチンコをしなくなったことで、高齢者の社交場状態になっているのです。
このような高齢者の多くは、1円パチンコで遊ぶ人が多く、ギャンブルというよりも友達とのコミュニケーションをとりに来ている人が多いため、パチンコ店の売上げに貢献してくれないのが問題です。
第2章 中小パチンコ店は風前の灯に
このような経営環境の変化による来店客の減少で、多くのパチンコ店の経営が厳しくなっているなか、今回の新型コロナウイルスの蔓延でさらに追い打ちをかけられました。
とくに個人経営などの中小のパチンコ店では、新型コロナウイルス蔓延以前から経営が厳しい状況にあり、すでに多くの小型店が倒産や閉店を余儀なくされていました。
さらには射幸性の高い機種の規制により、それらの機種は2021年1月末に撤去しなければならず、客を呼べる目玉機種が無くなります。それだけでなく、新規制の機種の導入のためには多額の設備投資が必要になり泣きっ面に蜂状態なのです。
全国には今、約9000店のパチンコ店があると言われますが、あと3年程度で約2000店以上がが廃業に追い込まれるとの試算もります。そこで生き残れるのは大型パチンコ店チェーンで、個人経営のパチンコ店は淘汰されるのではないかといわれています。
これからのパチンコ店経営者は海外への出店や飲食店との兼業で生き残りをかけるしかないとも言われていますが、コロナ禍の終息が見えない中、先の見えない苦境がこれからも続くのではないでしょうか。