日本のゲームセンターの売上げは、2000年の初頭をピークに年々下降しています。それは高性能な家庭用ゲーム機とスマートフォンのオンラインゲームが普及したことで、若者のゲームセンター離れが進んでいることが原因です。
そんな中で、いま高齢者のゲームセンター通いが増えていることをご存知ですか?
とくに多いのが、駅近くの繁華街や商店街にあるゲームセンターではなく、ショッピングセンターなどの比較的広くて明るいゲームセンターです。このような場所では、朝一番から高齢者がコインゲームやクレーンゲームで楽しそうに遊んでいます。
今回は、そんなゲームセンターに高齢者がふえている背景と理由について解説していきたいと思います。
第1章 ゲームセンターの隆盛と衰退
家庭用ゲーム専用機の名作といえばファミリーコンピューターです。1984年の発売以降、ファミコンは多くの子どもたちを魅了し続け、長年に渡って大流行しました。
しかしファミコンにも負けずに、ゲームセンターのゲーム機も進化を続け、アーケードゲーム機やUFOキャッチャーなどがゲームセンターへと並ぶようになり、ゲーム以外のプリクラなども大流行しました。
当時のゲームセンターの人気理由として、家庭用ゲーム機では味わえない迫力ある映像体験ができるという醍醐味があり、ファミコンをきっかけにゲーム好きになった子供がゲームセンターに通うようになっていました。
21世紀に入ってからは、自宅にも大型テレビが普及し、十分に迫力あるゲームを楽しめるようになったことや、スマートフォンの普及で、気軽にアプリゲームを楽しめるようになったことで、ゲームセンター離れが一気に進みました。
第2章 ゲームセンターに通う高齢者
ゲームセンターに通う高齢者は、仕事をリタイアした団塊世代が多くなっています。このような高齢者には「趣味がない」「居場所や行き場がない」「友人がいない」という孤独感を持っている方が多いのが特徴です。
ゲームセンターに通っている高齢者に、通い始めた理由話を聞くと「ゲーセン」が楽しそうであったからとか、時間を自由に使えるから。孫と一緒に遊んでいるうちに常連になった。
他にも高齢者が楽しんでいる人がいて、友人になれそうだと思った。など意外にポジティブな意見が多いことに気づきます。
そんななか、ゲームが頭の体操になるからといって通う高齢者もいます。
ゲームは、パチンコや他の娯楽に比べ、安く簡単に楽しめるメリットがあります。しかし高齢者にとっては、それ以外にも嬉しいメリットがあるのです。
介護業界では、数年前から機能訓練の為のゲームが流行しており、手先・足を使って脳を刺激するゲームが誕生。この動作が「頭の体操」として効果があるとされています。
例えば、メダルゲームの「コイン落とし」では、大きなゲーム機を複数人で囲むよう席が配置され、ゲームセンター仲間と会話やコミュニーションを楽しめるようにできています。
また、足でモグラ叩きをできるゲームで、身体を使った遊びができるゲームも登場しています。
このように、高齢者のコミュニケーション能力や運動能力を高める機能をもつゲームが人気で、介護業界からも注目されているのです。
第3章 ゲームセンターが高齢者の社交場に
このように高齢者の社交場となっているゲームセンターには、高齢者自身が好きなタイミングで訪れ、好きなだけ遊び寛げる自由な場所なのです。
さらには、頭と身体の体操ができたり、孫とも一緒に遊ぶことができるという利点が、
新たなゲームセンターと高齢者の関係をもたらしているのです。
定年退職して時間を持て余している方には、ぜひ一度ゲームセンターを訪れてみることをおすすめします。